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株式会社明色化粧品 取締役 瓜野松雄様 インタビュー
- 更新日
- 2020.3.17
2020年6月10日に創業135年を迎える桃谷順天館グループの明色化粧品は、消費者に長く愛され続け、老舗ながらの創業の精神、創業理念を守り続ける傍ら、様々な世の中の流れをつかみ、新しいものにも挑戦しています。
近年、wellness、wellbeing、ホリスティックケアといった考え方が注目される中、化粧品にもその世界観を取り入れ、敏感肌の方からも愛されるブランド、「リペア&バランス」が同社から誕生しました。
今回は、「リペア&バランス」シリーズを、自らのご経験や市場の生の声をもとに総合プロデュースされた、取締役 瓜野松雄さんにお話を伺いました。
お客様から「これがないと生きていけない」と言われるほどの名品メーカーとの出会い
−まず、瓜野さんご自身について教えてください。
瓜野氏:
瓜野氏:私は、入社して25年目になるのですが、初めて明色化粧品と出会ったのは、高校生のときです。当時、高校2年生から大学4年生まで化粧品売り場でアルバイトをしていました。アルバイトながら、バイヤーとして買い付けなどをしている中で、化粧品会社に就職しようと思っていました。
あるとき、売り場で品切れしていた「明色奥さま用アストリンゼン(※1)」に対して、お客様から「これがないと生きていけないじゃない!」とお叱りを受け、「生きていけない」ほど、魅力的な商品を提供している明色化粧品に「本物感」を感じ、入社しました。
(※1)同社の販売する「明色シリーズ」の化粧水。ヒアルロン酸、アロエエキス、カミツレ花エキスなどの保湿成分がお肌をみずみずしくしなやかに整えます。
wellness、wellbeingを化粧品にも取り入れた「リペア&バランス」がデビュー。
−今回新発売されたリペア&バランスとは、どのような形で携われてこられたのでしょうか?
瓜野氏:
久々の開発担当となり、立場上あまりないことですが、リペア&バランスに関しては、総合的に関わりました。商品化された背景として、私は会社に籍を置きながら、2年間慶応の大学院に通っていたのですが、修士論文のテーマを、「いつもいい状態」「体も魂も包括」という意味を表す「ウェルネス、ウェルビーイング、ホリスティックケア」にしました。
私自身、これまでに当社グループの総合文化研究所(※2)のチームで、世界中の美容展示会を見て回ったり、大学院の研修でモンゴル、アフリカなど発展途上国にも行ったりしましたので、そこで体感し、学んだことなどをまとめました。
アフリカの研修でタンザニアに行ったとき、アロママティックハーブの精油の工場見学へ足を運んだのですが、グローブ、ユーカリ、レモングラスを伐採し、水蒸気蒸留の原始的な機械で精油を作っている現場を初めて見ました。そのとき、色々な素材に触れました。
その後、総合文化研究所から新商品として、時代を読んだ「ウェルビーイング化粧品」を商品化したいと社長に提案し、商品化が決まりました。そこからは研究所所長、工場所長、製造技術研究所長など、各製造部門とチームを作り、共に長く歩んできた者同士で商品を創りました。
−写真は、タンザニアのダルエスサラームの市場にて、バオバブを手にしている瓜野氏
(※2)異業種企業や大学研究機関、その他学術機関との連携により、化粧品にとどまらず、‟美と健康”の分野において新しいビジネスモデルの構築や、お客さまへの新たな価値提供を行っている。
−リペア&バランスの商品について教えてください。
瓜野氏:
商品のコンセプトは、しわやリフトアップをテーマにしたものではありません。リペア&バランスは、「何か調子いいよね」という、潤いで満たされている肌や、使っているうちに化粧ノリも良くなる、美容医療で施術する分野ではない「普段の肌の良い状態」を重視した商品です。全商品アルコール不使用ですが、とても浸透性を高めました。
例えば、導入液は、敏感肌用には今まであまり一般的ではありませんでした。しかし、百貨店でのタッチアップ業務を通じて、多くの方が、「自分の肌は浸透しない」とおっしゃることが多く、化粧水の浸透を助ける役割として、あえてラインナップに入れました。そのような、自分自身が接客するたびに聞いてきた生の声から、「浸透しない」が悩みの肌に、というコンセプトになりました。
デザインも、この商品を何か一つのデザインで表すとしたら何かを考え、抽象度の高いアイコンを用いたシンプルなデザインにしました。
敏感肌、自称敏感肌のゆらぎ肌へアプローチするブランド
−どんな方に向けた商品ですか?
瓜野氏:
ターゲットとして、敏感肌市場は、一般保湿のカテゴリと比較して、スキンケア全体ではそんなに大きくありません。リペア&バランスは、敏感肌と一般保湿、両方にかかっているぼんやりとした層の「自称敏感肌」の方など、自分の肌は敏感肌だと感じている方を対象にしています。もちろん敏感肌の方にもお勧めですが、本当は肌が強いけれど、自分では敏感肌だと思い込んでしまっている方にも、使っていただきたいですね。
−自称敏感肌の方が多くいらっしゃるのですね。そんな方にオススメされるポイントはなんでしょうか?
瓜野氏:
自称敏感肌の方は、調子のいいときはとても肌の調子がいいですが、一度崩れてしまうと調子が悪くなる傾向があり、常にゆらいでいる状態の方が多いです。内外環境の影響で日々不安定に変化する肌を「ゆらぎ肌」として定義していますが、リペア&バランスは、そんなゆらぎ肌の方に、自信を持ってお勧めできる商品です。
例えば、肌が揺らいでいると、心も揺らぎやすく、精神的な面でも肌の調子は影響します。
仕事が忙しく、ストレスフルな社会で戦う方に、肌だけでなく心も調子の良い状態を提供したいと心から思っています。
−香りも、とても良い香りでリラックスできますね。
瓜野氏:
はい、リラクゼーション効果のある香りですが、香料不使用ですので、自然の香りです。たくさんの植物成分を使用していますが、ポイントは、殺菌、消毒のハーブとして知られる、クローブの香りが最後に来るようにしたことです。クローブは、歯医者さんなどでも使われており、誰しも幼少期から身近にある香りです。クローブが最後に香ることで、どこか懐かしくも安心でき、安堵感を得られるようにしました。香りによって揺らぐ心を解きほぐし整えることを狙いとしています。
こだわりの名品を、安価で提供するための企業努力
−値段はラインナップ全て、各1,540円(税込)ですね。相当なこだわりを持って作られているのに、かなりお安く感じます。
ドラッグストアで売るセルフセレクション商品として、営業担当者などの様々な意見を加味して価格設定しました。この金額で、ここまでの商品はなかなかないと思いますよ(笑)。
−商品を企画、開発されている中で、苦労されたことはありますか?
瓜野氏:
敏感肌テストなど、バックグラウンドとしてたくさんの条件があったため、苦戦しました。皮膚科医に48時間パッチテストを委託しました。先生に商品サンプルを渡し、被験者にテストしてもらうのですが、もし一人でもアレルギーが出た被験者が現れたら、その商品はもう使えない、という過酷なテストを行いました。
また、中央研究所には、私のわがままで相当苦労をかけました(笑)。香りひとつ取っても、「使用する方に安心感を与えてくれるクローブの香りを最後にして欲しい。」など、とにかくこだわりました。多数の植物成分が入っているので、調香師や工場には苦労をかけました。他には、原料に含まれるツボクサエキスの原価が非常に高く、原料メーカーとの交渉もそれぞれの部署が知恵を絞りました。この商品を見ると、いろんな関係者の顔が思い浮かんできて、胸が熱くなります。それぞれが対等な立場でチームを組み、そこでトータルプロデュースを任せてもらえたので、よかったです。このチームビルディングを通じて、第二弾にもご期待ください。
発売後すぐに、国内で予想以上の反響。海外輸出可能な処方設計も。
−海外での販売実績はありますでしょうか?
瓜野氏:
リペア&バランスに関しては、2月25日に発売され、国内でやっと流通し始めたばかりなので、まだ販売実績はありません。ただ、桃谷順天館の国際事業部は、様々な商品をグローバルに展開しています。
−海外向けの部署があるほど、海外市場は可能性が大きいのですね。今後、リペア&バランスの海外展開のご予定はありますか?
瓜野氏:
未定ですが、リペア&バランスは、いずれは海外で販売できれば嬉しいですね。まずは国内で支持いただけるように持っていきたいですが、先を見越して、あらかじめグローバル展開できる設計をしています。
wellness、wellbeing、など、常に良い状態を保つ、という概念、トレンドがアジアにも来ると思っています。そうなれば、リペア&バランスも受け入れられる気がしています。
グローバル展開の戦略はこれからですが、スキンケアの分野にも、将来的に心やストレスのケア、世界観としては、確実性や持続可能性の要素が求められてくるだろうと思っています。化粧品に成分を贅沢に処方する傾向のある、韓国にも興味がありますし、世界中の疲れた人にお使いいただきたいです。
−今後の目標を教えていただけますか?
リペア&バランスは、スロースタートの予定でしたが、当初の想定外に反響をいただいています。今後の目標としては、適正な店舗に、適正な数を配置し、消費者様にご提供したいと思っています。流通はドラッグストアを網羅し、仕事などで疲れた方々に手にとっていただきたいです。
−最後に、小売店様やバイヤー様へメッセージをお願いします。
瓜野氏:
一言でお伝えしますと、「スキンケアにもウェルビーイング、ホリスティックケアの世界観を!」ですね。
―本日は、ありがとうございました。
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