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株式会社ウエニ貿易 コスメティック事業部統括部長 小渕清次様 インタビュー

更新日
2020.2.28

日本人向けに作られた商品が、長くお客様から愛されることで海外に広がっていくこともあります。
誰にでも愛される香りをコンセプトとして2009年5月に誕生しロングセラーを続ける、株式会社ウエニ貿易の「AQUA SAVON(アクア シャボン)」もそのひとつです。
今回は、同社のコスメティック事業部統括部長、小渕清次さんにブランドの誕生秘話や今後の目標についてお聞きしました。

在庫処分からの急成長で業界ナンバー1に

-現在、「AQUA SAVON(アクア シャボン)」というコスメティックブランドの責任者をされている小渕さんですが、もともとは御社の親会社である株式会社ウエニで働かれていたようですね。どのような業務をご経験されていたのですか?

小渕氏:
キャリアのスタートは、小売部門の靴の販売からでした。小売店舗閉店後、現在の会社に転籍。アパレル営業課にて、衣料品を輸入し専門店に卸す業務に責任者として携わりました。しかし、アパレルの業績が計画通りに上がらず、新たな商材として、人気の出て来た香水の取り扱いをスタートさせることになったのです。全くの新規参入で、始めた当初は苦労に次ぐ苦労の連続だったのですが、仕入れた商品を、在庫を減らす為に赤字を切って販売し始めたところから、業界内での知名度が一気に上昇。新規得意先も増え始めました。

―香水業界ナンバー1にまで、急速に業績を上げられた秘訣は何だったのですか?

小渕氏:
異業種に香水を販売頂くアイデアを思いつき、知り合いが携わる、フランチャイズのTSUTAYAで専用什器による販売を始めたところ、爆発的な売上を記録したのです。その販売実績をもとに、バラエティストアの新規活動を行ったことで、販路が急拡大しました。日経MJの一面にも取り上げられ、仕入先にも恵まれた結果、そこからさらに取扱い店舗が増え急成長できました。

―これまで携わってこられた商品で、印象的なものはありますか?

小渕氏:
2つあります。
ひとつは、海外製のオリジナル商品が無かったころ、国内の展示会でたまたま見つけた「ボニーボニー」と名付けた商品です。年間で数万本売れるまで大事に売り続けました。今では廃番になっていますが、この商品の販売を通じて、同じ商品を常に工夫を加えて売り続けることが勉強出来た経験は、今日にもつながっています。
もうひとつは、国内代理店大手のブルーベルジャパンから独占販売の権利を貰って取り組んだ「ジェニファーロペス グロウバイジェイロー」です。この商品も大事にプロモーション販売を繰り返し、定番商品として今日まで残る商品に育てることができました。当社が最初に売り始めたのでなければ、ここまで定着しなかったと思うほどの、事業部一丸となった取り組みだと自負しています。

 

日本人に定着するオリジナル商品を発売

―そんな中で2009年に、「アクアシャボン」が誕生したのですね。

小渕氏:
事業部が10年を経過する頃から様々なオリジナル商品を創り出していた中、日本人に定着する香水を何とか商品化したいと、日本人の大好きな香りをモチーフにして「アクアシャボン」ができました。当初から爆発的に売れてしまい、欠品に次ぐ欠品で、商品のやりくりが非常に大変だったことが思い出されます。

―ブランドの魅力は、どのような点だとお考えですか?

小渕氏:
「アクア シャボン」の根幹であるシャボン(せっけん)の香りの魅力は、他の香水と比べて、いつでもどこでも使える「軽さ」であると考えています。海外の主張が強い香りを「完成された香り」と定義すれば、せっけんの香りは「未完成の香り」で、つけてもほのかですぐに消えるのが特長です。世代や性別を問わず、誰にでも合わせることが出来る軽さこそが、日常的に日本人が使い続けてもらえる秘訣なのではないかと思っています。

―開発にあたり、こだわった点はありますか?

小渕氏:
容器について、お客様が商品を手に持った時に馴染む形を追求しました。また、清涼感のある音を演出する為にガラス玉を入れる事を思いつき、採用しました。商品のネーミングを「~の香り」に統一しているのも、分かりやすく伝えるためのこだわりです。

―価格帯としては、主力のオードトワレが\2,200~、そのほかボディケア商材は\800~\2,000前後ですよね。購入されているのは、どの年代の方が多いのですか?

小渕氏:
20代の男女を中心に10代から60代まで、幅広い年齢層の方にご購入いただいています。

 

スピーディーな販促で派生ブランドの展開に成功

―ブランドは10周年を迎えられ、派生ブランドも展開されていますよね。それぞれのブランドの特徴を教えていただけますか?

小渕氏:
まず、誰からも愛され、優しさが溢れる香りをコンセプトとして成長してきたのが、「シャボン(せっけん)の香り」のパイオニアブランドとしてシリーズ累計600万本突破(2019年8月末時点の実績)のロングセラー商品を生み出している「アクア シャボン」です。洗い立てのタオルやお風呂あがりに漂うほのかで爽やかな香りとなっており、香りを感じる度に、自然体でいられる悦びを感じ、心やすらぐシャボンな毎日を提供するブランドになっています。オードトワレを中心にスティックフレグランス、ヘアー&ボディミスト、UVアイテムなどを展開しています。

次に、毎日忙しいママの気持ちに少しのゆとりが生まれますようにと願い、ママたちの声から生まれたのが「ママ アクア シャボン」です。ほんのりシャボンの香りと、環境に配慮した容器で、肌に優しい処方にこだわったボディケア商品(日焼け止め、保湿クリーム)などを展開しています。

最後に、香りを運動時にまとうことでメンタルやパフォーマンスに与える影響に着目しスポーツシーンでの使用を目的としているのが、「アクア シャボン スポーツ」です。シャボンと柑橘をベースに調香したオードトワレ、UVアイテムなどを展開しています。

―10年売れ続くブランドを作れた要因は何だと思いますか?

小渕氏:
スピーディーに顧客が求めている事を察知し、その都度販促を打つことが出来てきたからではないでしょうか。それは会社として、各事業部に大きな裁量を与えてもらえ、チャレンジがし易い環境があることが大きいですね。

 

インバウンド向けや海外での販売も

―日本人向けとして発売されたアクアシャボンは、海外のお客様にも人気があるそうですね。

小渕氏:
インバウンドのお客様の購入が年々増加しているのは事実です。特に、特に2月~4月に掛けて拡販をする、「サクラフローラルの香り」については、インバウンドのお客様が7割いらっしゃる店舗で月に300本以上を売る実績も出ています。

―海外での販売実績もあるのですか?

小渕氏:
韓国、台湾では化粧品、雑貨店を中心に販売しております。
また中国市場に向けて、中国のKOLが来社し、日本よりライブ配信を行い、販売をいたしました。
アクアシャボンは、香水を利用する文化があまりなく、強い香りを好まない国で受け入れられる可能性があると感じているので、これからアジア諸国に向け、アクアシャボンの香を広め、香水だけではなく、UV、ボディケア商品も広めていく予定です。

―海外進出において障壁と感じていることはありますか?

小渕氏:
日本製のため原価が高く、他国、特に韓国製品との価格差が大きいため、売価設定がどうしても高くなる点が難しいですね。

 

さらなる進化を目指し、販路や商品の拡大を狙う

―今後の目標をお聞かせください。

小渕氏:
中国語が堪能なスタッフが加わり、体制が整いつつあるので、海外は中国だけでなく、タイや台湾なども視野に入れて拡大をさせていく予定です。ブランドとしては年間10億円を直近目標として掲げており、香水だけでなく身の回り品全ての領域に広げ、新たな領域にチャレンジしていきたいです。

―最後に、小売店様、バイヤー様へのメッセージをお願いします。

小渕氏:
ブランド10周年を迎え、今では既に「定番」としての立ち位置にありますが、消費者の求める物作りを今後も継続し、進化をさせていきます。香水が定着しなかった日本市場で「日本人の香りはせっけんの香り」と定着するまで走り続けたいと思います。

―本日は、ありがとうございました。